はじめに 児童文学にとっての障害問題
第一章 児童文学における障害者の発見 ―― 明治時代における
一 まず、翻訳として
二 明治期の障害児教育と障害者観
三 明治後半期の作品群
第二章 比喩としての障害 ―― 大正時代(そして一九六〇年代の残像)
一 現実を背景として
二 愚かさや弱さの比喩
三 立とうとしない障害者とは
第三章 現実へ向かう児童文学 ―― 昭和前半期
一 戦争とファシズムの時代
二 現実の障害者をとらえる
三 傷痍軍人保護キャンペーン
第四章 最初の長編『美しい旅』と『手をつなぐ子等』
一 川端康成の諸作品
二 『美しい旅』
三 『手をつなぐ子等』
第五章 敗戦直後の児童文学
1 戦争の生んだ障害者
2 実存的作品としての『風ぐるま』
3 『しいのみ学園』から見えるもの
4 障害にこだわった北畠八穂
5 壺井栄と白内障の少女
第六章 児童文学の新しいひろがり
1 社会への働きかけと自伝と
2 社会へ働きかける作品の登場
3 自伝的作品の障害者像
第七章 「ピノキオ問題」
1 児童文学と差別批判
2 差別的だとする運動の進行
3 「ピノキオ」をどう読むか
第八章 さまざまな障害児像 ―― 一九六〇〜七〇年代
1 〈生きかた〉と〈関係〉と
2 中心的なテーマではないが
3 非障害児が向き合う障害児
4 障害児をめぐる広範な状況
5 『だれもしらない』が抱えているもの
第九章 共生への長い道 ―― 一九八〇年代以降
1 共生からいちばん遠く
2 ハンセン病を主題とした児童文学
3 状況を切り開いていく障害者
4 障害を語る多数の絵本
5 共生をめざして――丘修三と佐藤州男の場合
あとがき
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