ホーム | 書籍一覧 | ご注文方法 | 書店一覧 | リンク

 

児童文学(広く言えば子どもの本)のなかには、 障害者や障害問題を扱ったものが少なくない。 これまでそれらの一部が個別的に論じられることはあったが、 全体を歴史的な流れとしてとらえたのは本書が初めてである。 展開を跡づける作業はなかなか困難だったが、 主要な作品はおおむね取り上げることができたと思うので、 これは明治期から現代までの障害にかかわる児童文学の初めての通史である。

 2400円+税/A5判・216頁
・送料無料・

詳しい内容はこちらから

著者紹介 ○目 次 

長谷川 潮 (はせがわ うしお)

一九三六年、東京生まれ。
一九六二年、都立三鷹高校定時制課程を卒業し、国際基督教大学図書館に勤務(一九九七年、定年退職)。一九六九年、通信教育で法政大学文学部を卒業し、勤務のかたわら児童文学の批評、研究に携わってきた。

 

 

はじめに 児童文学にとっての障害問題

第一章 児童文学における障害者の発見 ―― 明治時代における

 一 まず、翻訳として
 二 明治期の障害児教育と障害者観
 三 明治後半期の作品群

第二章 比喩としての障害 ―― 大正時代(そして一九六〇年代の残像) 

 一 現実を背景として
 二 愚かさや弱さの比喩
 三 立とうとしない障害者とは

第三章 現実へ向かう児童文学 ―― 昭和前半期 

 一 戦争とファシズムの時代
 二 現実の障害者をとらえる
 三 傷痍軍人保護キャンペーン

第四章 最初の長編『美しい旅』と『手をつなぐ子等』 

 一 川端康成の諸作品
 二 『美しい旅』
 三 『手をつなぐ子等』

第五章 敗戦直後の児童文学 

 1 戦争の生んだ障害者
 2 実存的作品としての『風ぐるま』
 3 『しいのみ学園』から見えるもの
 4 障害にこだわった北畠八穂
 5 壺井栄と白内障の少女

第六章 児童文学の新しいひろがり 

 1 社会への働きかけと自伝と
 2 社会へ働きかける作品の登場
 3 自伝的作品の障害者像

第七章  「ピノキオ問題」 

 1 児童文学と差別批判
 2 差別的だとする運動の進行
 3 「ピノキオ」をどう読むか

第八章 さまざまな障害児像 ―― 一九六〇〜七〇年代 

 1 〈生きかた〉と〈関係〉と
 2 中心的なテーマではないが
 3 非障害児が向き合う障害児
 4 障害児をめぐる広範な状況
 5 『だれもしらない』が抱えているもの

第九章 共生への長い道 ―― 一九八〇年代以降 

 1 共生からいちばん遠く
 2 ハンセン病を主題とした児童文学
 3 状況を切り開いていく障害者
 4 障害を語る多数の絵本
 5 共生をめざして――丘修三と佐藤州男の場合

 あとがき