2006年5月6日/毎日新聞に紹介されました

「ぼくはうみがみたくなりました」はこちらからどうぞ

 

自閉症の長男生きた証

 東京都町田市の脚本家の男性が、自ら書いた自閉症の青年が主人公となった小説を自主製作で映画化する計画を進めている。男性の長男も自閉症で今年3月末に事故死した。小説は10以上前、男性が「自閉症への理解を広めたい」とテレビドラマの脚本として応募したもの。男性は「自分には映画しかない」と資金協力を呼びかけている。 
 脚本家は、山下久仁明さん(45)で、長男は大輝さん。山下さんはアニメの制作会社を経て12年前、フリーで独立した。大輝さんが4歳の時に、テレビドラマの脚本募集に「心の扉」の題で応募しに。
 脚本は、大輝さんを育てた経験を題材にした、看護学校の女子学生が自閉症の青年に出会いドライブに出るストーリー。女子学生は話しかけても答えない青年に戸惑いながらも理解を深めていくものだが、落選した。
 映像への望みを捨て切れない山下さんはその後、出版社に脚本を持ち込み、相談の上、「ぽくぼうみがみたくなりました」 (ぷどう社刊、02年)の題で小説として出版した。
 大輝さんは、成長しても話す言葉は単語程度で、「周りの人の気持ちをあまり理解できなかった」 (山下さん)という。電柱や自宅の屋根に上っては両親をはらはらさせた。しかし、今年3月28日、自宅近くを散歩中、踏み切りに入って、電車にはねられた。
 山下さんは映画の製作への協力を呼びかけるホームページを4月5日に開設これまでに約200万円がカンパとして集まった。
 製作には約3000万円が必要といい、山下さんは「自閉症を分かってもらうには映像が最も訴えやすい。長男が背中を押してくれると信じて、企画を進めていきたい」と話している。 【苅田伸宏】

●山下さん映画の製作を呼びかけるホームページ
http://homepage2.nifty.com/bokuumi/